おっぱいの準備をしましょう
出産後、赤ちゃんにたっぷり母乳を与えるためには、妊娠中から準備をしておく必要があります。特に乳首は大変デリケートな部分です。赤ちゃんがいきなりおっぱいを強い力で吸うと、切れたり傷ついたりして、トラブルをおこすこともあります。
妊娠中期に入ったら、刺激を与えて皮膚をきたえ、赤ちゃんが吸いやすいようにやわらかくしておくことが大切です。
生まれてくる赤ちゃんのために、このような手入れをすることは、母親になるという心の準備をすることでもあるのです。
母乳にはいいことがいっぱい
母乳はなによりもふたりの大事なスキンシップタイムです。また、授乳にはお母さん・赤ちゃん両方にいいことがいっぱい。ぜひ母乳で赤ちゃんを育てましょう!
お母さんが赤ちゃんへ母乳を与えるメリット
- 授乳の際に気持ちを安定させるホルモンが分泌され、気持ちの安定になる
- ホルモンの分泌によって、子宮の回復が早くなる
- 母乳が作られる際には脂肪が燃焼されるので、産後のシェイプアップに有効
- 粉ミルクと違って、泣いたら、いつでもどこでもすぐ飲ませられる
- 乳がんにかかりにくくなる
- 母体から分泌されるものなので、経済的
赤ちゃんがお母さんから母乳をもらうメリット
- いちばん消化しやすく、赤ちゃんにとって飲みやすい
- お母さんの免疫がもらえるので、病気にかかりにくくなる
- 乳房を吸うことによって、あごの発達や歯ならびが良くなる
- お母さんのにおいをかぎ、声を聞き、鼓動を感じながら目と目を合わせておっぱいを吸うことで、情緒が安定する
おっぱいのお手入れのポイント
母乳はなによりもふたりの大事なスキンシップタイムです。また、授乳にはお母さん・赤ちゃん両方に良いことがいっぱい。ぜひ母乳で赤ちゃんを育てましょう!
おっぱいを締めつけない
おっぱいをつくる乳腺は、妊娠中にどんどん発達していきます。
おっぱいを締めつけるような、ぴったりした下着やブラジャーなどは、乳腺の発達をさまたげる原因になります。妊娠中・赤ちゃんの子育て中は、ゆったりとした下着を選ぶようにしましょう。
ブラジャーをしないだけでも、おっぱいが自然にゆれるため血行が促進されます。
乳頭を清潔にし、皮膚を強くする
おっぱいの出口である乳口がアカなどでつまらないよう、入浴する前にベビーオイルなどで乳頭をマッサージし、そのあと石けんで洗いましょう。
乳頭・乳輪部のマッサージ
赤ちゃんの診察・検査
赤ちゃんが生まれたあと、次のような診察・検査を行って、生まれてきた赤ちゃんが健康かどうかを診断します。
診察
赤ちゃんは生後1日(24時間診察)と生後3日(退院診察)にお母さんの診察時に一緒に診察をします。赤ちゃんに気になる事があれば診察時にお聞き下さい。
血液検査(血液ガス検査・血液型)
出産時に臍の緒から採血をします。臍の緒の血液のガス分析をすることによって、お産中赤ちゃんにストレスがあったかどうか、胎児仮死があったかどうかがわかります。安産でも赤ちゃんにストレスがかかっている場合もあります。程度が強い場合には血液のバランスが崩れていることもあり、赤ちゃんに治療が必要となります。採血後直ちに結果のでる機械で、全員にこれを実施し、治療に役立てています。
ご希望が多いので血液型を退院時に調べますが、赤ちゃんの血液型は自分の血液型を表現する抗原の力が弱く、100%信頼できるものではありません。
尚、血液型はABO式のみでRh式については母親がRh(-)の人以外は調べておりません。
薬
ミルクと比較して母乳中にはビタミンKが不足しており、これが少ないと何千人に一人の割合ですが赤ちゃんに出血傾向、特に頭蓋内出血の原因になることが知られています。これを予防するために当院では、小児科学会のガイドラインの通り、入院中は初回授乳時と退院時の2回、退院後は生後3ヶ月まで週1回、ビタミンKのシロップを赤ちゃんに飲んでもらいます。副作用はまずありません。人工栄養が主体(半分以上)の場合には生後1ヶ月の時点で投与を中止しても良いでしょう。
おやすみ中の赤ちゃん(SIDSなどの予防)
非常にまれですが、寝ている赤ちゃんがおっぱいを吐いて喉に詰まらせたり、SIDS(乳幼児突然死症候群)という病気で呼吸が止まることがあります。
SIDSとは、出生1000人に対して0.5人の割合で発生すると言われている、乳幼児が突然、命を落としてしまう病気です。 はっきりとした原因は今のところ不明ですが、睡眠中に起こる、無呼吸状態から覚醒反応までの遅延があると言われています。
現在、このようなケースは、眠っている赤ちゃんの無呼吸を監視する事で、ある程度予防できると考えられています。当院では、入院中の赤ちゃんに無呼吸を監視する"ベビーセンス"という機械を使用し、SIDSの予防につとめています。
聴力検査
赤ちゃんにお母さんの声、楽しい音楽がちゃんと聞こえているのかはとても大切な事です。お母さんの声やいろんな音が聞こえていないと言葉の発達にも大きな影響を与えます。また知能の発達は情報の多さに比例するとも言われています。
今までは簡単に検査する機械がありませんでしたので、2歳を過ぎて言葉が遅いなどの言動により発見されていました。しかし、2歳を過ぎて発見された場合では知能の発達にも大きく影響してきます。当院では最新の機械を導入し、赤ちゃんに簡単かつ安全に検査できるように致しました。この機会にぜひ検査を受けられることをお勧めいたします。
黄だんの検査
通常、赤ちゃんは生後3~5日に生理的な黄だんが出現します。しかし中にはこの値が随分と高い赤ちゃんもいます。この場合には他の病気があることもあり検査が必要ですが、ほとんどのケースは生理的な黄だんです。ただ、あまり黄だんの数値が高い場合には治療が必要な事もあります。治療は光線療法といって赤ちゃんに光をあてることで有害な黄だんの物質を無害なものに分解する治療法です。
入院中の赤ちゃんは毎日ビリルビメーターという簡単な黄だんの検査をします。もしこの検査で高い値が出た場合は赤ちゃんの血液検査をして実際の赤ちゃんの黄だんの数値を調べます。ただ毎日の検査ですので、血液検査をした場合のみお母さんに検査結果をお知らせします。
新生児マススクリーニング(タンデムマス)検査
クレチン病、先天性副腎過形成症、先天性代謝異常症(数種類)など19種類の病気を調べる検査です。いずれも希な病気ですが発見が遅れると治療が困難なこともあります。これらを早期に発見することで、病状が出現する前に簡単な治療ですむメリットがあります。ただ、この検査の特徴として、疑陽性(病気ではないのに陽性、つまり病気の疑いがあるという結果)がでる率が高いという問題があります。この問題は、検査の特殊性から現時点では避けられないことで2~3%に出現します。
この検査は退院日(生後4~5日)に採血します。正常の場合には1ヶ月検診で検査結果をお渡しします。
※もし疑陽性の結果が出た場合には、退院後1週から10日後くらいに電話で連絡致します。もし連絡があった場合は、心配せず外来診察にお越し下さい。再検査をします。
退院後の連絡先に変更がある場合には入院中にご連絡下さい。