分娩について
- 原則的に出産は自然分娩を待ちますが、医学的な必要性により誘発分娩、陣痛促進、吸引分娩、帝王切開など医療が介入することがあります。
- 全分娩に対して約10%の方が帝王切開となりますが、そのうち半数以上の方が前回の出産が帝王切開であった方です。
- 骨盤位、前回分娩が帝王切開であった方の出産方法については、帝王切開が選択される事が多くなってきました。
- 2019年1月~2022年12月までの3年間の分娩取扱い実績は2127件で帝王切開は89件、無痛分娩は2件でした。
当院での無痛分娩について
硬膜外無痛分娩について
当院ではできるだけ自然なお産を目指しています。しかし、痛みに弱く陣痛に対して精神的に不安が非常に強い方、あるいはパニックに陥る恐れのある方にとって、無痛分娩も出産方法の選択肢として検討していただけます。
無痛分娩での出産に至るまでの経過について
- 計画分娩による陣痛促進に先立って前日より入院していただき、子宮の出口を柔らかく広げるための処置を行います。
- 硬膜外麻酔カテーテルの留置
陣痛促進の朝、麻酔薬を入れる為の硬膜外カテーテルというチューブを背中に入れます。横になり腰のあたりに針を挿入してカテーテルという管を入れます。そのカテーテルから麻酔薬を注入し痛みをとります - 計画分娩の場合は、翌日から陣痛促進を行います。陣痛促進剤を少しずつ増量し赤ちゃんの様子やお産の進み具合を見て、硬膜外カテーテルから麻酔薬を注入していきます。
- 初めは微量の麻酔薬の注入から開始しますので、ある程度の陣痛による痛みはこの時点であります。麻酔の量が増えてくると、足がしびれて動けなくなったりする場合があります。子宮口が開ききっていない時でもかなりの強い陣痛が付いてくる方も多いので、その場合は呼吸法などで乗り切りましょう。痛みの様子を見ながら、お薬を追加していきます。
- 分娩経過中の飲水は少量可能ですが、分娩が進行し麻酔が開始されると絶食となり、トイレはベッド上で管を入れて取ることになります。
- 麻酔の量が増えてくると足がしびれて動きにくくなったり、陣痛が分かりにくくなることがありますので、ご自分の力だけではお産ができなくなる事があります。この場合には吸引分娩をするなどお手伝いをさせていただく場合があります。
- お産が終わりましたら、背中のチューブを抜きます。その後、麻酔の残り具合やお産後の経過を見ながら歩行や食事をしてもらいます。
留意事項
- 当院では計画分娩の方だけを対象とし、夜間や週末、休日並びに麻酔担当医が不在の際に陣痛が発来した場合などは、処置を行うことはできません。また、夜間や他の分娩などによりスタッフの管理体制容量を超えると判断した場合、無痛分娩を施行できないケースもあります。この点は院内全体の安全を重視するためご了承願います。この点をご理解できない場合は、当初よりお断りさせていただきます。
無痛分娩の費用について
無痛分娩は保険の適用にはなりません。通常の分娩費用(概ね53万円)に加えて10万円程度の費用が必要となります。尚、吸引分娩や帝王切開となった場合には、その当該医療行為のみが保険適用となり別途加算されます。