不妊治療

人工授精について

人工授精とは

排卵の時期に、採取した精液から元気な精子を集めて子宮腔内に注入する方法です。

体外受精について

体外受精とは

2018年の出生数92万人のうち
57000人が体外受精による治療で生まれています。

体外受精とは、卵巣から卵子を取り出し(採卵)、培養液内で精子と卵子を受精させて(媒精)、受精した卵子を再び子宮内に戻す方法を言います(胚移植)。

この一連の流れを「体外受精‐胚移植(IVF-ET)」と呼んでいます。

本来、女性の胎内で卵子と精子が受精し妊娠します。しかし、なんらかの原因によって、自然な妊娠が難しいケースがあります。

 

補足説明
タイミング療法や人工授精などの一般不妊治療よりも高度な技術の不妊治療を「生殖補助 医療(ART)」といいます。生殖補助医療(ART)には、体外受精や顕微授精、受精卵の凍結保存・凍結保存している受精卵の融解胚移植などの治療が含まれます。

 

体外受精が必要と考えられるケース

  • 精子と卵子の出会う卵管が、ふさがっている場合
  • 子宮内膜症などによって排卵できなかったり、卵管がふさがっている場合
  • 体内に射出された精子が少ない、または精子の元気がない場合
  • 女性の体内に、精子を異物として攻撃する抗体があり、妊娠に至らない場合
  • 検査をしても不妊症の原因がわからない場合

 

体外受精の流れ

 

卵巣刺激(排卵誘発)

体外受精を成功させるためには、できるだけ多く良質な成熟卵を採取する必要があります。体外受精では、排卵誘発剤(FSH/HMG製剤など)を使用して、一度に多くの卵子を採取できるように卵巣刺激(排卵誘発を行います)。

排卵誘発の方法は患者様の年齢や体の状態、過去の治療歴などにより、いくつかの方法 があります。当院では、月経中のホルモン採血やAMHの測定により、1人1人に合った誘発法を選択しております。

 

卵胞発育モニタリング

体外受精では排卵誘発を行い、適切なタイミングで採卵を行う必要があります。そのため、2~4回程度の卵胞発育状況を確認するための通院が必要となります(通院が難しい日がある場合は、事前に相談して下さい)。

経膣超音波により複数の卵胞が卵胞径18mmに到達したのを確認し、採卵日を決定しています。

 

成熟・排卵を促す薬剤の投与

通常は採卵の前々日の夜(21:30もしくは22:00)にhCG製剤の皮下注射をお願いしています。また発育卵胞数が多い場合には点鼻薬を用いた採卵も行っています。

 

胚移植

当院では採卵後2~3日目に初期胚を、もしくは5日目に胚盤胞を移植します。胚移植の個数は日本産科婦人科学会の指針に基づき原則1回としています。
胚移植は移植専用の柔らかいカテーテルを用いて培養液と一緒に吸い上げ、子宮内膜を傷つけないように移植します。移植後は40分程度のベッド上安静の後、帰宅となります。

 

黄体期管理

着床しやすい状態を維持するために黄体補充療法を行っています。通常は卵胞ホルモンの貼付薬と黄体ホルモン膣錠を使用しています。

 

妊娠判定

胚盤胞移植の場合は10日後(初期胚移植の場合は12日後)に血液検査で妊娠判定を行います。

 

補足説明
・卵巣過剰刺激症換群(OHSS)
体外受精を行う際には、一度に複数の卵子を採取する必要があります。そのために排卵誘発剤を使用するのですが、一度に多くの卵子が発育すると卵巣が腫れ、腹水やときに胸水貯留などの症状が発生する可能性が高くなります。このような状態を卵巣過剰刺激症候群(OHSS)といいます。卵巣過剰刺激症候群は必ず発症するものではありませんが、お腹の張りや息苦しさ、吐き気、尿量の減少、体重増加のような症状が出た場合には念のためすぐに受診してください。
※OHSSは重症化すると腎不全や血栓症を起こす場合があると言われています。

OHSSは妊娠すると悪化する特徴があるため、OHSS発生が予想される場合には、胚移植を中止して、全ての受精卵を凍結した上で、OHSSが軽快した後の月経周期で胚移植を実施しています。