婦人科診療

月経困難症

月経困難症は、月経の直前あるいは開始とともに症状が発現し、月経の終了前あるいは終了とともに消失するのが一般的で、おもに下腹痛、腹痛など疼痛を主症状とする状態で通常の日常生活が送れない状態を指します。
単なる痛みだけでなく悪心、嘔吐、下痢、頭痛などのさまざまな不快な症状を伴うことも多くあります。
症状はおもに「痛み」であるために、客観的に評価することは困難ですが、軽度の月経痛は成熟女性の70~80%に認められ、重症とされる月経困難症は16~49歳の女性の約28%、25歳未満の女性では約45%に認められるとの報告もあります。

 

(図1)月経痛の程度
(女性労働協会:働く女性の健康に関する実態調査 2004年より)
円グラフ:16~49歳の女性の月経痛の程度

 

月経困難症の中には器質性月経困難症とも呼ばれる、疼痛の原因となる病気が骨盤腔内に存在する月経困難症もあります。
原因となる病変としては、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症、あるいは骨盤内炎症などがあります。
月経困難症の診断は、自覚症状と問診によって行いますが子宮筋腫や子宮内膜症などの疼痛の原因となる器質性病変が骨盤腔内に存在するかどうかを、内診、血液検査、画像診断(超音波検査、MRI)などによって判断する必要があります。
月経困難症の治療は鎮痛剤を用いた疼痛コントロール(対症療法)を行う場合もありますが、原因となっている病気(器質性疾患)の治療が必要になります。
器質性月経困難症の治療は鎮痛剤を用いた疼痛コントロール(対症療法)や低用量ピルの処方を行う場合もありますが、原因となっている病気(器質性疾患)の治療が必要になります。

 

月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)

月経前、3~10日の間続く精神的症状(情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安など)あるいは身体的症状(腹痛、頭痛、腰痛、お腹の張り、乳房の張りなどで)、月経が始まるとともに軽快ないし消失するものをいいます。
とくに精神状態が強い場合には、月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder : PMDD)も言われます。